『ライトを準備する』まず部屋照明をどうするかなんですが、人によっては部屋照明は使わないほうがいいと言うかたも居ます。部屋照明は動かせないのでライティングの制約になりやすいというのが、一番大きな理由かと思います。
実際、部屋照明が被写体の後方にあるとそれは「逆光」ですし、あんまり真上だとフィギュアはその構造上、どうしても顔が髪の陰になってしまいます。真上の場合、ある程度の光量調節ができれば、後述のトップライトの代用とすることも可能ですが、あんまり明るすぎるとライティングのバランスを取るのが難しくなるのかなぁ……と思います。
部屋照明の使う・使わないは環境によってもまちまちかと思いますので細かな言及は避けますが、これで別に用意するライトを1灯減らすことができるのであれば、「安価に撮影環境を整える」という意味では適っているかなぁ……とも思います。
ひとまず当講座では、部屋照明を使うことを前提にします。ちなみに、ウチの撮影環境だと、部屋照明は被写体から見て仰角約60〜65度の位置にあります。
さて、用意するライトの数なんですが、2灯または3灯が基準になります。
まず、被写体から背景までを含めて全体を照らすためのトップライトです。あるいは、背景を照らすライトです。これが無いと、フィギュアだけにライトがあたって、背景が不自然に暗くなったり、被写体の影が背景に強く映り込んでしまうことがあります。
これは上方からの光なので、部屋照明で代用できます。ただし、あまり大きな光量で真上に近い方向から照らすと、顔に髪の強い影ができてしまうので、その点はご注意ください。

この写真は、ライティングも全く考えず、部屋照明だけで「えいっ!」と撮ったものです。顔の上半分が完全に髪の影になっているのがわかると思います。ところで、フロントライトが無いので、背景と被写体との明度バランスが無茶苦茶ですね(汗)。
2つ目は、フィギュアを前方から照らすためのフロントライトです。基本的には、これがメインのライトになります。被写体から見て斜め上方、だいたい仰角20〜30度くらいから照らすのが良いかと思います。あまり上からだと、繰り返しますが、顔の上半分が髪の陰になってしまいます。人物撮影だと45度というのがひとつの基準みたいですが、フィギュアはどうしても前髪のボリュームが邪魔になってしまうので、45度はちとキツいかなぁ……と思います(補助光で影を和らげればいいのかもしれませんが)。
フロントライトは、トップライトによる髪の影が気にならない程度の光量があれば充分かと思います。けっこう強いライトでしっかりと照らすかたもいらっしゃるんですが(とくに、フィルム出身で人物撮影の経験があるかたなど)、フィギュアは人物には無い独特の「つや」があり、あまり強い光で照らすと部分的に色が飛んでしまったり極端に薄く写る場合があります。とくに既製品のフィギュアは目のプリントでこれが起こりやすく、ライティングやアングルの制約になることもあります。
こういう「つや」は硬質感を出してしまうので、個人的には「悪の権化」くらいに思ってるんですが(汗)、ある程度は好みの問題かなぁ……とも思います。尤も、つや消ししてないフィギュアは、いくら頑張ってもてかりますからね。

これは、ライト1灯で闇雲にライティングしたものです(ライティングと呼べるレベルのものでさえないですが)。左目のプリントにライトが映り込んで白っぽくなっているのがわかるでしょうか。肩の部分とかのてかりも少し気になりますね。
上記2つのライトは、原則として必須です。3つ目はオプションですが、フィギュアを後方から照らすためのアクセントライトです。「逆光になるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、完全な逆光になるような照らしかたをするわけではありません。具体的には、別のタイミングで解説します。
次回は、ライティングのごくごく基本を。
『ライティングの準備』いよいよライティングです。ライティングはこだわると本が1冊くらい書けるような気がする上、金をかけようと思えばいくらでもかけられるポイントです。ただしここでは、あくまでも安価に仕上げる方法を考えます。
カメラ屋を覗くと、いわゆる「ブツ撮り」用の小さな撮影スタジオが売られています。ただし安いものではなく、ライト込みだと軽く「ん万円」するシロモノです。
フィギュアは構造が複雑な上、形状によってライティングも変わってしまうので、下手に安い(と言っても10,000円以上する)スタジオを買うより自前で用意したほうが安く良い物が仕上がると思います。
ちなみに私は、高さ50センチメートルほどの「手ぬぐい掛け」から、メートル売りしている布を洗濯バサミで挟んで垂らすという方法を採っています。以前はスチロール板と大判画用紙等々でスタジオを「組んで」いたんですが、けっこう邪魔になるので、今の方法に変えました。

スタジオを手に入れたら、次に必要なのはレフ板です。光を反射するための、銀色のアレです。
市販品もありますが、フィギュア用には自作で充分間に合います。アルミホイルを一度くしゃくしゃにして、押し広げたものを台紙に張れば完成です。くしゃくしゃ具合や、アルミホイルの表裏でも反射率が変わるので、何パターンか作成して使い分けましょう。
また、アルミホイルではなく白い紙を張りつけた「白レフ」もあるといいかもしれません。アルミホイルを使ったいわゆる「銀レフ」に比べて反射率は低いですが、微妙な光量調整のときに使用することがあります。
反射をわざと抑えるために使う「黒レフ」というのもあるんですが、私は使ってません。

あと、レフ板の代わりというか光量不足時の補助照明として、鏡があると便利です。
で、ここまで来て、かんじんのライトの話が全く出ていませんが、これは次回に回します。
『ホワイトバランスと“白”の関係』1年半ほど更新をお休みしていたんですが(滝汗)、意外と参考にしてくださっているかたが多いようなので(フィギュア撮影の参考リンクとして紹介していただいているケースがちらほらと……)、一念発起して更新を再開します。
「ホワイトバランスと“白”の関係」というのは意味がわかりにくいかもしれませんが、「ホワイトバランス」と「白」には非常に重大な関係があります。それは……
ホワイトバランスの基準にする「白」って何?
ということです。身の回りに、「白」と呼べるものはたくさんありますが、実際はそのどれもが微妙に異なる「白」であり、どの「白」を基準にするかでホワイトバランスが変わってしまうんです。



この3枚は、それぞれ異なる「白」を基準にホワイトバランスを調整しています。撮影結果を見ると、下にいくにつれて色温度が高くなっているのがわかると思います。
では、どの「白」を基準にするか……ですが、正確にホワイトバランスを取るのであれば、カメラ用グッズとして売られている「グレーカード」を使う手があります。グレーカードは、元は露出調整のために使用するものですが、デジカメ時代にはホワイトバランス調整にも使用できます。価格も手頃なので、1つ持っていても邪魔にはならないと思います。
他には、自分で好みの「白」を決めてしまうというのもあります。たんなる趣味で撮影する範囲であれば、「正確さ」にこだわること無く、自分の好みのカラーバランスで調整してしまうというのも手だと思います。
『ホワイトバランスと色温度の関係』
「色温度」という言葉があります。色温度というのは、光の色を数値化したもので、単位はK(ケルビン)です。昼間の太陽光がだいたい5500Kくらいで、昼白色蛍光灯が5000K、昼光色蛍光灯が6700K程度になります。
ちなみに、パソコン用ディスプレイの標準設定はだいたい6500Kです(違うものもあります)。
つまり、昼間の太陽光5500Kを基準としたとき、ある環境光が6000Kだとしたら、ホワイトバランスによって撮影結果を-500K調整することで、昼間の太陽光下で撮影した場合と同じ撮影結果を得ることができるというわけです。
色温度は、高くなればなるほど青系統(寒色系)になり、低くなればなるほど赤系統(暖色系)になります。
ホワイトバランスが上手く補正されていない場合、例えば色温度が低めに出る場合、「緑かぶりしている」と表現されます。逆に、色温度が高めに出る場合、「青かぶりしている」と表現されます。
次回、もう少しだけホワイトバランスの話を。
忙しくてサンプル写真を撮ってる暇が無いので(ストックが尽きた)、ペースを大幅に落とします。
『ホワイトバランス』ホワイトバランスは、デジカメを扱う上で絶対に避けて通ることができません。
人間の目は、環境光に合わせて色を認識するため、太陽光下でも蛍光灯下でも白を「白」と認識することができます。しかし、入射する光をそのまま記録するデジカメの場合、同じ白でも環境光によって波長が異なる(つまり、色が異なる)ため、違う色として記録されてしまいます。
で、この環境光による色ズレを補正するための機能がホワイトバランスになります。基本的に、デジカメではオートホワイトバランス(以下、AWB)で自動補正するのが一般的です。
基本原理は単純で、環境光を計測してそれに合わせて撮影後の画像に補正をかけます。一般的なデジカメの場合、撮影した画像全体から環境光の傾向を計算しますが、レンズ交換式一眼レフカメラ等では環境光を直接測定してホワイトバランスを調整します。
ただし、AWBの性能や補正傾向は、デジカメによってかなりのバラつきがあります。また、コンパクトデジカメの場合、撮影画像を元にホワイトバランスの調整を行うため、色が偏りやすいフィギュア撮影の場合、ホワイトバランスが正確に補正されない場合があります。
マニュアルホワイトバランス
オートホワイトバランス上の写真は、ホワイトバランスを手動で調整して、正確な色が出るようにしたものです。下の写真は、AWBを使用して撮影したものです。AWBを使用した写真は、少し緑色がかぶったような結果になりました。
以上のことからも、フィギュア撮影では原則として、AWBではなくマニュアルホワイトバランス(カスタムホワイトバランス)で撮影したほうが良いです。
ただし、安価なコンパクトデジカメだとマニュアルホワイトバランスの機能が無いものもあるので、フィギュア撮影に使うのであれば、マニュアルホワイトバランスの機能を持ったものを選ぶべきでしょう。
次回は、もう少しホワイトバランスについて書きます。
『マクロモード』
この講座、全30回くらいになりそうな勢いです(汗)。
レンズには、最短撮影距離というものがあります。「これ以上近づくと、ちゃんと撮れないよ〜」という距離ですね。
コンパクトデジカメの場合は、レンズ先端から被写体までの距離で表します。レンズ交換式一眼レフカメラの場合は、撮像素子(CCD、CMOS)から被写体までの距離で表します。
一般的なデジカメだと、最短撮影距離は広角端で50cmくらい、望遠端で1mくらいになります(通常、焦点距離が長くなればなるほど、最短撮影距離も長くなります)。しかし、フィギュア撮影の場合、せめて20〜30cm、できれば5〜10cmくらいまで被写体に寄りたいものです。
このとき使う機能が、お花のマークで表現されているマクロモードです。マクロモードを使うことで、より被写体に近づいて撮影することができるようになります。
しかし、ここで注意が必要です。コンパクトデジカメのスペック表に書かれているマクロモードでの最短撮影距離は、ほぼ全て「広角端の場合」の数値です。先ほど、「焦点距離が長くなればなるほど、最短撮影距離も長くなります」と書きました。
そうなんです。「最短撮影距離3cmのマクロモード搭載」などと誇らしげに謳っているデジカメでも、じつは望遠端では30cmくらいまでしか寄れない……なんてのはザラにあります。
さらに、「マクロモードは広角端でしか使用できません」とか「マクロモードは広角端と望遠端でしか使用できません」なんてデジカメも存在します。
カタログは隅から隅までよく読みましょう。あるいは、店頭で実際にマクロモードの試写をして、その性能を確かめましょう。
フィギュア撮影で使うなら、マクロモードを「全ズーム域で使用可能」であり、なおかつ「望遠端での最短撮影距離15cm以下」を目指したいところです。
レンズ交換式一眼レフカメラの場合は、「マクロレンズ」というマクロ撮影専用(とは云え、遠景も普通に撮影できます)のレンズがあるので、それを使用します。
次回からは、ホワイトバランスのお話を。
『三脚』フィギュア撮影では、三脚を用意しましょう。以上、終了。
……では寂しいので、もうちょっと詳しく。
フィギュア撮影は、手持ち撮影は難しいです。これはもう実際にやってみればわかりますが、手持ちで撮影しようとすると、手ぶれでどうにもなりません。
これは単純に「暗い」からで、暗いとシャッター速度が遅くなります。ただ、フィギュア撮影の場合、暗いからといって無理に明るくしようとするより、素直に三脚を使ってじっくり撮影するのが吉です。
一方で、FinePix F30のような高感度デジカメとか、手ぶれ補正対応のデジカメを使って、手持ちで撮影するというのもあります。このへんは、ケース・バイ・ケースですが。
三脚を使う場合は、必ずセルフタイマーを使いましょう。せっかく三脚でカメラを固定しても、シャッターを押すとき、微妙にカメラが動いてしまいます。これを防ぐためには、セルフタイマーを使うのが最も効果的です。
じつは、手持ち撮影のときも、セルフタイマーを使うと手ぶれを抑えることができます。というのも、手ぶれの大部分は、シャッターを押したときカメラが動くことによって発生するからです。これはフィギュア撮影に限った話ではないですが、セルフタイマーは、手ぶれ防止にも効果があります。
機種にもよりますが、シャッターを押してから実際にシャッターが切れるまでの時間が2秒という、短いセルフタイマーの設定があります。じつはこれ、手ぶれ防止を主な目的とした機能なんですね。
f=82mm、F5.6、S=1/5secで手持ち撮影
上と同じ条件でセルフタイマー使用セルフタイマーを使うと、三脚無しでもなんとか手ぶれの少ない写真を撮影することができます。意外と使えるテクニックなので、活用してください。
というわけで、次回はマクロモードのお話など。
『ストロボ撮影』どうも、じっくり時間がとれなくて、載せてる写真がけっこういいかげんなことを自分自身も気にしてるんですが、まあ死ぬわけじゃないのでこんな感じで。(普通は有り得ないような撮りかたしてるので、面倒くさいんです……)
フィギュア撮影でのストロボ使用については、どこのサイトさんでも「やってはいけない」と書かれています。これに関しては当サイトも同じで、フィギュア撮影でのストロボ使用は避けるべきかと思います。
これは実際にやってみればわかるんですが、ストロボを使って綺麗に撮るのは難しいです。

これはストロボを使用して撮影したものです。正面からの強い光で背景に強い影が映り込み、全体的に立体感に乏しい絵になっています。顔も真っ白になってしまって、元の造型とは全く異なる結果になってしまいました。
ただし、それなりの撮影環境を作れば、ストロボを使用した撮影も不可能ではありません。
次の写真は、カメラ本体のストロボに加え、リモート発光するストロボを1灯使用して撮影したものです。

強い影ができていますが、正面からの光と、それより強い斜め方向からの光により、フィギュアの立体感を出すことができています。色味も実物に近く、これならまあ「アリ」かなと思います。
ただし、こういう環境をそろえるくらいなら、最初っからライティングをしっかりやるべきでしょう。
ライティングに関してはいずれ書きますが、ひとまず次回は三脚撮影について書きます。
『フィギュア撮影とパースペクティブの関係』これはもうフィギュア撮影に限った話ではなく、人物写真撮影の鉄則とも言えるものです。
簡単に言ってしまえば、ハイアングル(頭上方向からの撮影)の場合は望遠で撮影、ローアングル(足下方向からの撮影)の場合は広角で撮影します。
頭上から広角で撮影してしまうと、遠近感が誇張されることで、頭が大きく写ってしまいます。逆に足下から望遠で撮影してしまうと、遠近感が圧縮されることで、足が短く写ってしまいます。
f=35mm、頭が大きく見えます
f=82mm、バランス良くなりました
f=82mm、足が少し短く見えます
f=35mm、足の長さが強調されますもちろん、これは原則であり、場合によってはいろいろな撮影方法があるかと思います。そのあたりは、実際にいろいろと撮影して見比べてみるのが良いのではないでしょうか。
次回は、ストロボ撮影について書きます。
『パースペクティブ』パースペクティブというのは、要するに「遠近感」です。
パースペクティブを決定するのは、ひとえに焦点距離です。焦点距離が長いと遠近感は圧縮されます(圧縮効果)。逆に、焦点距離が短いと遠近感が誇張されます(誇張効果)。
f=82mm
f=35mmこれはもう、作例を見ていただければ一目瞭然かと思います。上の2枚の写真は、被写体の位置関係は全く変わっていませんが、焦点距離の差で遠近感が全く異なっています。
では、これをどうフィギュア撮影に生かすか……は、次回から。