萌えキャラ認定中:川添珠姫、千葉紀梨乃
『嘘と沈黙』なんか、今までわりとポジティブにストーリーが展開してきたので、終盤のここに来ていきなり谷底に突き落とされてしまったようで、少々戸惑い気味の展開です。
珠姫は、何か糸が切れてしまったように、勝ちを求めるようになってしまったようです。「剣道で勝つ」というよりも、「だた勝つ」ということだけに意識が向いているんでしょうか。
一方、外山の不祥事により、休部に追い込まれかけている剣道部ですが、実質退部状態の外山を「無関係」と言い切ってしまえば、学校側と交渉の余地があるという状態。鞘子は「切り捨てるべき」と主張し、たぶんそれは正しい判断なんですが、一方の紀梨乃は嘘をついてまで切り捨てることを決心できない様子。そのへんの思考が、紀梨乃が紀梨乃であるゆえんなのかなぁ……とも思います。
ただ、ふと思ったんですが、紀梨乃はべつに外山をどうこうするというレベルで悩んでるんじゃないんですよね。
ここからはたんなる妄想ですが、珠姫にしても紀梨乃にしても、今ある自分たちの状態(珠姫の場合はブレイバーとして「必ず勝つ」という自分、紀梨乃の場合は外山が抜け珠姫が入部してからの剣道部)がじつは「幻影」だったということに気づいてしまい、戸惑っているように見えます。
もう少し書くと、珠姫の場合は、「負けないブレイバー」というのが彼女のアイデンティティ(のひとつ)なんだけど、「勝たなければいけない」というその場面で本来の自分を見失って負けてしまった。「勝たなければいけない自分」と「勝つ自分」を同一視してしまったことで、アイデンティティにほころびが出てしまったのかなぁ……と思います。
紀梨乃のほうは、外山が抜けて珠姫が入部し活気づいてきた剣道部を、「勝ち取った」あるいは「作り上げた」と思い込んでいたのかもしれません。でも実際は、外山の件はただ「気づかないふり」をしていただけ。珠姫に対しても、部長でありながら「勝つのがあたり前」という甘えを抱いてしまった。結局、今の剣道部において「じつは、何もしていない自分」という存在に気づいてしまったのではないかと思います。外山の件で彼を「退部扱い」にするというのは、紀梨乃にとっては「今の自分」を許すことになってしまい、それこそが彼女の言う「嘘」なのかなぁ……と。
いずれにせよ、この状態からどんな結末にたどり着くのか、いよいよ目が離せなくなってきました。もちろん、ハッピーエンドになると信じていますが。