前回からのつづき
■『D.C.S.S.』に対する不満ちょうど似たようなテーマを似たようなタイミングでやりつつ、全く異なる展開を見せた2作品ということで、比較対象にしています。
前提条件として『SHUFFLE!』と『D.C.S.S.』の違いを挙げておくと、『D.C.S.S.』にはどう転んだって絶対に勝てない相手が居る(音夢のことね)……ということでしょう。つまり、『SHUFFLE!』は全員に等しくチャンスがあったわけですが、『D.C.S.S.』は純一−音夢のラインを既定路線にして話を構成していました。
で、ここで『D.C.S.S.』に対する第一の不満として、ヒロイン確定路線であるにも拘らず、他のキャラクターたちにあまりにもスポットがあたらないということが挙げられます。『SHUFFLE!』は、亜沙先輩以外もシア、ネリネ、楓、プリムラそれぞれにエピソードを用意していましたが、『D.C.S.S.』は実質的にことり以外のキャラクターを取り扱っていません。そのため、アイシア的に言うところの「みんなが純一を好き」という状況に対する説得力が、やはり欠けてしまうように思います。せっかく、ヒロインを確定してストーリーの核を作っているのに、これはちょっと勿体無いんじゃないか……と、そのように思うわけです。
そして第二の不満は、ことりの扱いかたです。物語の序盤、まだ音夢もさくらも登場していなかった頃は、ことりがアイシアに次ぐヒロインの位置に居ました。ところが、蓋を開けてみれば、ことりは「みんなが純一を好き」という状況説明の代表格に祭り上げられただけで、とくにさくらが登場して以降はヒロインとしてどころかキャラクターとしてさえ実質的に機能していません。
この状況に、《ことりかわいいよことり》としては、いったい、あのことりの気持ちはどこに行ってしまったんだ?……と文句をつけたくなるわけです。
これにより、結果として音夢、さくら、アイシアを除くヒロイン候補たちは、だれひとりとして機能していない(ただのモブになった)という困った状況に陥りました。いくらヒロイン確定路線で進めているにしても、それはあんまりじゃないか?……と、そのように思うわけです。逆に、それならそれで、ことりをあんな中途半端に扱うことにも、問題があったのではないかと思います。
結局、このあたりは『SHUFFLE!』と『D.C.S.S.』の作品スタンスの違いだと思いますが、『D.C.S.S.』はあまりにも(悪い意味で)お行儀が良すぎる気がします。代表キャラクターとしてことりを例に採っても、彼女自身の中で全て完結してしまっていて、優等生すぎるというか、泥くささが無さすぎるというか、中途半端にキャラクターが完成されちゃってるんですよね。しかもそれが、ことりというキャラクターの本意ではなく、ことりを起点にストーリーをかき回されたくないという制作側の意図が見え隠れするだけに、「朝倉くんには、音夢さんが居るから」ということりの台詞に納得がいかないわけです。
ことりにああいう損な役回りを押しつけておきながら、一歩踏み出すことを許さないって、それは制作サイドとしてどうなんでしょう? ことりというキャラクターのアイデンティティを潰して、結果として作品としても損をしているような気がしてなりません。
アイシアから見て、みんながお行儀良くしていることに納得できないというのであれば、ストーリー的には正しい形なのかもしれません。でもそれって、ストーリーの都合でキャラクターを動かしてるってことですよね。
べつに、ことりに対して「楓のようになれ!」と言っているわけではなく、せめて楓の1/10でもいいから、もうちょっと泥くささを身につけてほしいな……と、《ことりかわいいよことり》は思うわけです。そのほうがキャラクターとして、絶対に魅力が上がると思うんですよ。で、それはことりに限った話ではなく、他のヒロイン候補たちにも言えることじゃないでしょうか。
その上で、結果として純一と音夢を見守ろうという結論に至るのであれば、私も文句は言いません。ただ、そういったステップを省略して、みんながお行儀良く縮こまっている(ヒロイン候補として機能していない)現状には、やはり作品として不満が残ります。
『D.C.S.S.』って、前作もそうだったけど、なんかこう垢抜けないんですよね。全体的に、もうあと一、二歩踏み込めれば、キャラクターが生きて、作品としてもっと面白くなるような気がするんですけど。
- http://mys.blog2.fc2.com/tb.php/382-9d9abf6a
- ※トラックバック・ポリシー
0件のトラックバック
コメントの投稿